正法眼蔵を読み解く

現代人による正法眼蔵解説

2021-02-20から1日間の記事一覧

因縁の考察  酒井得元

因縁の考察 酒井得元 因縁ということは、「阿頼耶識與雑染法互爲因縁、如炷與焔展轉生焼、又如束蘆互相依住唯依此二建立因縁、所余因縁不可得故」(成唯識論第二春)(「大正蔵」三一・八下)にもある如く、我々の生命現象の基本的購造を説明する概念として、…

存在と佛性   酒井得元

存在と佛性 酒井得元 一 大乗論部の破執分の論理的根幹をなすものは、一般的な性の概念を破して、無性を明かすことであつた。かくて、古來の佛者の努力の方向が、結局、この一點に終始していたということは、周知のところであろう。何故にこの一般的な性の概…

佛性と時節  酒井得元

佛性と時節 酒井得元 佛性は、佛教を學ぶものの、先ず第一に問題としなければならぬことで、この性格を明確にすることが、その人の佛道の方向を明確にする。故に、古來、立教開宗の祖と言われる人達には、それぞれの佛性論がものされて來た。そもそも佛性と…

法界の論理的考察 酒井得元

法界の論理的考察 酒井得元 論理は思索の軌道である。論理に導かれて思索進むのか、それとも思索が論理を生むのか、その邊のことを考えるのは徒勢である。何故ならば、思索は論理を媒介としなければあり得ないが同時に、その思索が論理を生む。故に思索と論…

佛性の性格  酒井得元

佛性の性格 酒井得元 成佛を最後的なものとする佛教者は、自己を窮極にまで掘下げ、成佛という事實に到達すべく努力するものである。そして成佛とは如何なるものかが、第一に與えられる課題であつた。それはやがて本來成佛の自覚にまで具體化され、遂に大乗…