正法眼蔵を読み解く

現代人による正法眼蔵解説

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

東洋思想 井筒俊彦

東洋思想 井筒俊彦 古来、東洋には多くの思想潮流、思想伝統が現われて、それぞれ重大な文化史的役割を果たしてきた。それら相互間に生起した対立、闘争、影響、鍵概念の借用・流用、移植と摂取の歴史。時代と場所を異にする多くの思想伝統が、直接間接、多…

 禅における内部と外部―1973年度エラノス講演― 井筒俊彦

禅における内部と外部―1973年度エラノス講演― 井筒俊彦 一 東アジアの画と書 内部と外部、あるいは内部世界と外部世界との間の区別と関係の問題は、東アジア的精神性の形成過程において並外れて重要な役割を演じてきた。その考えは、事実、宗教的思考、…

禅的意識のフィールド構造 井筒俊彦

禅的意識のフィールド構造 井筒俊彦 本稿の原テクストは、一九六九年度のエラノス講演<The Structure of Selthhood in Zen Buddhism >であって、禅における主体性の特殊なあり方の分析解明を主題とする。私がエラノスの講演者の列に加わったのは一九六七年のことだから、この学会との私の関連から言えば、</the>…

公案を通じての思考と非思考 井筒俊彦

公案を通じての思考と非思考 井筒俊彦 一 思考に対する不信 これまで度々「公案」について言及して来たが、しかしその言葉の体系的な説明はまだ与えていなかった。公案とはどんな類のものなのか、そしてそれは如何に正しく扱われるべきかと云う正確な知識な…

「理事無礙」から「事事無礙」へ 井筒俊彦

一 「理事無礙」から「事事無礙」へ 井筒俊彦 一 この講演のテーマとして私が選びました「事事無礙」は、華厳的存在論の極致。壮麗な華厳哲学の全体系が、ここに窮まると云われる重要な概念であります。しかし「事事無礙」という考え自体、すなわち経験的世…