正法眼蔵を読み解く

現代人による正法眼蔵解説

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『碧巌録』を読むヒント  末木文美士

『碧巌録』を読むヒント 末木文美士 一 禅籍を訳すということ 「禅問答」といえば、わけのわからないものの代名詞のように使われる。確かに禅は言語分別を超えることを目標とするから、わざわざ通常の論理では通用しないようなことを言うので、常識では理解…

麻三斤 入矢義高

麻三斤 入矢義高 僧、洞山に問う、「如何なるか是れ仏」。 洞山云く、「麻三斤」。 周知のように禅門では古来はなはだ有名な公案となって、『雪贅頒古』『碧巌録』『無門関』『空谷集』などで取り上げられ、また多くの禅僧による拈頌が伝えられている。この…

語録の言葉と文体 入矢義高

語録の言葉と文体 入矢義高 私はこれから禅の語録について、もっぱらその言葉と文体について述べようと思う。しかも、もっぱら唐代の語録を中心資料として述べることにしたい。というのは、唐代の禅には、宋以後の禅に見られるような宗派の別によるセクショ…

因縁の考察  酒井得元

因縁の考察 酒井得元 因縁ということは、「阿頼耶識與雑染法互爲因縁、如炷與焔展轉生焼、又如束蘆互相依住唯依此二建立因縁、所余因縁不可得故」(成唯識論第二春)(「大正蔵」三一・八下)にもある如く、我々の生命現象の基本的購造を説明する概念として、…

存在と佛性   酒井得元

存在と佛性 酒井得元 一 大乗論部の破執分の論理的根幹をなすものは、一般的な性の概念を破して、無性を明かすことであつた。かくて、古來の佛者の努力の方向が、結局、この一點に終始していたということは、周知のところであろう。何故にこの一般的な性の概…

佛性と時節  酒井得元

佛性と時節 酒井得元 佛性は、佛教を學ぶものの、先ず第一に問題としなければならぬことで、この性格を明確にすることが、その人の佛道の方向を明確にする。故に、古來、立教開宗の祖と言われる人達には、それぞれの佛性論がものされて來た。そもそも佛性と…

法界の論理的考察 酒井得元

法界の論理的考察 酒井得元 論理は思索の軌道である。論理に導かれて思索進むのか、それとも思索が論理を生むのか、その邊のことを考えるのは徒勢である。何故ならば、思索は論理を媒介としなければあり得ないが同時に、その思索が論理を生む。故に思索と論…

佛性の性格  酒井得元

佛性の性格 酒井得元 成佛を最後的なものとする佛教者は、自己を窮極にまで掘下げ、成佛という事實に到達すべく努力するものである。そして成佛とは如何なるものかが、第一に與えられる課題であつた。それはやがて本來成佛の自覚にまで具體化され、遂に大乗…

酒井得元 提唱 三昧王三昧

正法眼蔵提唱 三昧王三昧 提唱(一) 酒井得元 面山述讃第二十一 三昧王三昧 述して曰く、三昧王三昧は九年面壁是なり。是を仏仏の要機祖祖の機要と謂う。二乗外道及び趙宗以来の異計の者は干茲に暗し。讃に言く、高して上無く。広うして涯なし古仏の軌範。…

酒井得元 提唱 袈裟功徳

正法眼蔵 袈裟功徳 提唱(一)酒井得元 ※原文 「義雲頌著」第四十一袈裟功徳 非色非空。霊山付属線連金、火不曾焼一提不起。 此土西天何隔針、古今苗秀福田地。 ※提唱 今回から『袈裟功徳』の巻に入つてまいります。此の袈裟というのは前の巻に『伝衣』の巻…

正法眼蔵随聞記

正法眼蔵随聞記 一 01示に云く、はづべくんば明眼の人をはづべし。予、在宋の時、天童浄和尚、侍者に請ずるに云く、「外国人たりといへども元子器量人なり。」と云ってこれを請ず。 予、堅く是を辞す。その故は、「和国にきこえんためも、学道の稽古のためも…

酒井得元 著作述 一覧

酒井得元 著作述 一覧 駒沢大学と私(退任記念講演)―dl可― 駒沢大学仏教学部論集 (18), p1-22, 1987-10 永平広録について―dl可― 禅研究所紀要 (11), p1-31, 1982 天台止観と只管打坐―酒井得元老師著作集Ⅱ― 宗学研究 (18), p243-250, 1976-03 〔書評〕『訳註禅…