正法眼蔵を読み解く

現代人による正法眼蔵解説

2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

石門洪覺範林間錄

No. 1624-A 洪覺範林間錄序 臨川 謝逸 撰 [0245a09] 洪覺範得自在三昧於 雲菴老人。故能游戲翰墨場中。呻吟謦欬皆成文章。每與林間勝士抵掌清談。莫非尊宿之高行.叢林之遺訓.諸佛菩薩之微旨.賢士大夫之餘論。每得一事。隨即錄之。垂十年間。得三百餘事。…

『正法眼蔵行持』と時間について 石井修道

【講演会】 『正法眼蔵行持』と時間について 石井 修道 ただ今ご紹介いただきました駒澤大学の石井修道でございます。駒澤大学の仏教学部長と共に禅研究所の所長も現在兼ねておりまして、こちらの愛知学院大学の禅研究所とも長いおつきあいがあり、日頃、大…

禅問答というもの      入矢義高

禅問答というもの 入矢 義高 かつて京都大徳寺の管長であった後藤瑞巌(1879―1965)老師はその任から退かれた後も、求道者に応接せられたが、英語に堪能であった為もあって、外人と会われる事も多かった。ある時、初めて訪れて来た一人の外人と対談の際、お…

雨垂れの音       入矢義高

雨垂れの音 入矢 義高 『碧巌録』第四十六則(「大正蔵」四八・一八二b一九)に「鏡清雨滴声」というのがある。その話はこうである。 あるとき鏡清和尚が僧に問うた、「門の外のは何の音かな」。 僧、「雨垂れの音です」。 鏡清、「衆生は顛倒して、己れを迷…

驢事と馬事 入矢義高

驢事と馬事 入矢 義高 満開の桃の花を見て悟りを開いたという霊雲禅師に、稜(りょう)道者が訊ねた、「仏法の大意は何でしょうか」と。大意とは根本義または本質のこと。これに対する霊雲に答えは、「驢事未だ去らざるに、馬事到来す」であった。「ロバの仕…

馬祖禅の核心 入矢義高

馬祖禅の核心 入矢 義高 中国の禅は、実質的に馬祖(709―788)から始まった。禅を以て仏教の帰結とする理念が明確な自覚として宣明されたからであり、しかもその自覚が、教義の解釈や研究という形でなしに、具体的な日常の営為のなかで、実践的に形成…

雲門の禅・その〔向上〕ということ 入矢 義高

雲門の禅・その〔向上〕ということ 入矢 義高 唐代の末期、九世紀後半から十世紀にかけて、中国の禅の主流は北と南に二分していた。「北に趙州あり、南に雪峰あり」という当時の通り言葉が示すように、河北の趙州禅師(778―897)と福建の雪峰禅師(8…

清涼山天龍寺と松尾芭蕉

清涼山天龍寺と松尾芭蕉 青園謙三郎 一、芭蕉と永平寺 元禄二年(1689)と云えば今から330年ほど前になる。松尾芭蕉が「奥の細道」の大旅行の帰り路、加賀の国から越前の国へ入り、一日目は松岡の天龍寺で一泊。翌日は永平寺へ参詣して福井に出た。福…