正法眼蔵を読み解く

現代人による正法眼蔵解説

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

十二巻本 第十二「八大人覚」を読み解く    二谷正信

十二巻本 第十二「八大人覚」を読み解く 二谷正信 はじめに 先の第十一『一百八法明門』と同様、「新草十二巻」での最後巻第十二『八大人覚』は共々に同様な趣旨の元に、書き示された著作であろうと思われる。 「当巻」の奥書には「本云建長五年正月六日書永…

十二巻本 第十一 「一百八法明門」を読み解く   二谷正信

十二巻本 第十一 「一百八法明門」を読み解く 二谷正信 一 爾時護明菩薩、觀生家已。時兜率陀有一天宮、名曰高幢、縱廣正等六十由旬。菩薩時々上彼宮中、爲兜率天説於法要。是時菩薩、上於彼宮、安坐訖已、告於兜率諸天子言、汝等諸天、應來聚集、我身不久下…

十二巻本 第十「四禅比丘」を読み解く    二谷正信

十二巻本 第十「四禅比丘」を読み解く 二谷正信 一 第十四祖龍樹祖師言、佛弟子中有一比丘、得第四禪、生増上慢、謂得四果。初得初禪、謂得須陀洹。得第二禪時、謂是斯陀含果、得第三禪時、謂是阿那含果、得第四禪時、謂是阿羅漢。恃是自高、不復求進。命欲…

十二巻本 第九「四馬」を読み解く    二谷正信

十二巻本 第九「四馬」を読み解く 二谷正信 序 「四馬」とは四頭の馬の性質を学仏者の性根の利鈍に喩え、仏法を暁了することの遅速あるを云うのである。此の「四馬」に対し義雲(1253―1333)は『六十巻本正法眼蔵』では第三十九に列し、その著語では…

十二巻本 第八「三時業」を読み解く    二谷正信

十二巻本 第八「三時業」を読み解く 二谷正信 一 第十九祖鳩摩羅多尊者、至中天竺國、有大士、名闍夜多。問曰、我家父母、素信三寶。而甞縈疾瘵、凡所営事、皆不如意。而我鄰家、久爲栴陀羅行、而身常勇健、所作和合。彼何幸、而我何辜。尊者曰、何足疑乎、…

十二巻本 第七 「深信因果」を読み解く   二谷正信

十二巻本 第七 「深信因果」を読み解く 二谷正信 一 百丈山大智禪師懷海和尚、凡参次、有一老人、常隨衆聽法。衆人退老人亦退。忽一日不退。師遂問、面前立者、復是何人。老人對曰、某甲是非人也。於過去迦葉佛時、曾住此山。因學人問、大修行底人、還落因果…

十二巻本 第六「帰依仏法僧宝」を読み解く   二谷正信

十二巻本 第六「帰依仏法僧宝」を読み解く 二谷正信 一 禪苑清規曰、敬佛法僧否。一百二十門第一 あきらかにしりぬ、西天東土、佛祖正傳するところは、恭敬佛法僧なり。歸依せざれば恭敬せず、恭敬せざれば歸依すべからず。この歸依佛法僧の功徳、かならず感…

十二巻本 第五 「供養諸仏」を読み解く     二谷正信                                                                          二谷正信

十二巻本 第五 「供養諸仏」を読み解く 二谷正信 はじめに 「当巻」は十二巻中第五番に位置するが、第一の「出家功徳」二「受戒」三「袈裟功徳」四「発菩提心」と実に整然と理に適った標題であります。『発菩提心』二段での「初発菩提心のち、そこばくの諸仏…

十二巻本 第四「発菩提心」を読み解く                          二谷正信

十二巻本 第四「発菩提心」を読み解く 二谷正信 はじめに 当『発菩提心』は「新草本」に位置づけられるが、「旧草本」での六十三巻に当る巻にも『発菩提心』と称される巻がある。同称であることから「旧草本」では「発無上心」と表記されることもある。両巻…

十二巻本 第三「袈裟功徳」を読み解く                      二谷正信

十二巻本 第三「袈裟功徳」を読み解く 二谷正信 当巻の『袈裟功徳』は「新草十二巻」の中では特異な巻だろう。それと云うのも当巻奥書には「ときに仁治元年庚子開冬日在観音導利興聖宝林寺示衆」と明示されるからであるが、「旧草七十五巻」での『伝衣』の奥…

十二巻本 第二 「受戒」を読み解く                       二谷正信

十二巻本 第二 「受戒」を読み解く 二谷正信 一 禪苑清規云、三世諸佛、皆曰出家成道。西天二十八祖、唐土六祖、傳佛心印、盡是沙門。蓋以嚴淨毘尼、方能洪範三界。然則參禪問道、戒律爲先。既非離過防非、何以成佛作祖。 受戒之法、應備參衣鉢具幷新淨衣物…

十二巻本 第一 「出家功徳」を読み解く     二谷正信               

十二巻本 第一 「出家功徳」を読み解く 二谷正信 一 龍樹菩薩言、問曰、若居家戒、得生天上、得菩薩道、亦得(至)涅槃。復何用出家戒。答曰、雖倶得度、然有難易。居家生業、種々事務。若欲專心道法家業則癈、若專修家業道事則癈。不取不捨、能〔乃〕應行法…